「不登校の原因がわからない」「小学生の子どもが急に学校へ行けなくなった」「親や母親のせいなのでは」と悩む保護者は少なくありません。
不登校は、ひとつの原因だけで起こるとは限りません。学校生活への意欲低下、生活リズムの乱れ、不安や抑うつ、友人関係、学習の遅れ、先生との相性、家庭環境の変化、発達障害などの特性が重なり、子ども本人にも理由を言葉にできないまま登校できなくなるケースがあります。
この記事では、文部科学省の最新調査をもとに、不登校の原因ランキング、小学生・中学生・高校生で見られやすい理由、原因がわからないときの考え方、親ができる対応、学校や専門機関との連携方法を解説します。
この記事の結論
不登校の原因は「いじめ」「勉強の遅れ」「親の関わり方」など、ひとつに決められるものではありません。文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は約35.4万人で過去最多となり、学校が把握した事実として「学校生活に対してやる気が出ない」「生活リズムの不調」「不安・抑うつ」「学業の不振」「友人関係の問題」などが多く挙げられています。
ただし、これは「原因ランキングの1位だけを見れば解決する」という意味ではありません。不登校は複数の要因が絡み合うことが多く、子ども自身も「なぜ学校に行けないのかわからない」と感じている場合があります。
親が最初にするべきことは、原因を問い詰めることではなく、安心できる環境を作ることです。そのうえで、生活リズム、学校での様子、友人関係、学習状況、心身の不調を整理し、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、教育支援センター、医療機関などと連携していきましょう。
不登校の原因ランキング:文部科学省データで多い要因
「不登校 原因ランキング」と検索する方は、まず全体像を知りたいはずです。
文部科学省の令和6年度調査では、不登校児童生徒について学校が把握した事実として、次の内容が多く挙げられています。
| 順位の目安 | 不登校児童生徒について把握された主な事実 | 親が見るべきサイン |
|---|---|---|
| 1 | 学校生活に対してやる気が出ないなどの相談 | 無気力、朝起きない、学校の話を避ける |
| 2 | 生活リズムの不調に関する相談 | 昼夜逆転、睡眠不足、朝起きられない |
| 3 | 不安・抑うつの相談 | 涙、イライラ、表情の変化、腹痛や頭痛 |
| 4 | 学業の不振や頻繁な宿題の未提出 | 授業についていけない、宿題を強く拒否する |
| 5 | いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題 | 友達の話をしない、SNSトラブル、孤立 |
ここで大切なのは、ランキングを「犯人探し」に使わないことです。
たとえば、生活リズムの乱れは原因に見えることもありますが、実際には学校への不安やストレスの結果として昼夜逆転が起きている場合もあります。学業の不振も、勉強が嫌いだからではなく、授業中の不安、発達特性、教室環境、人間関係のストレスが背景にあるかもしれません。
つまり、不登校の原因は「何が一番悪いか」ではなく、「子どもの負担がどこに積み重なっているか」で見ていく必要があります。
不登校の原因がわからないのは珍しくない
子どもに「どうして学校に行けないの?」と聞いても、「わからない」「なんとなく無理」「別に理由はない」と返ってくることがあります。
これは嘘をついているとは限りません。小学生や中学生は、自分の不安、緊張、疲れ、孤独感、劣等感をうまく言葉にできないことがあります。特に、学校生活の小さなストレスが長く続いた場合、本人にもどれが原因なのか整理できません。
原因がわからないときは、無理に特定しようとせず、次の4つを見ます。
- 生活リズム:睡眠、食事、朝の起きやすさ、昼夜逆転
- 学校生活:授業、宿題、教室、先生、行事、給食、部活
- 人間関係:友人、クラス、SNS、いじめ、孤立
- 心身の状態:腹痛、頭痛、不安、無気力、イライラ、涙
「原因はこれ」と断定しなくても、「ここが負担かもしれない」という仮説があれば十分です。仮説をもとに、家庭と学校で負担を減らす方法を探していきます。
小学生の不登校に多い原因
小学生の不登校は、本人が理由をはっきり言えないことが多く、親から見ると突然始まったように感じやすいです。
友人関係のトラブル
小学生にとって、友達との関係は学校生活の中心です。いじめほど明確でなくても、からかわれる、仲間に入れない、遊びに誘われない、グループの空気が合わないといった小さな出来事が積み重なると、学校が安心できない場所になります。
周囲に気を遣いすぎる子、自分の気持ちを言い出せない子は、トラブルが表面化しにくい傾向があります。親は「友達と何かあったの?」と詰めるより、「最近、休み時間はどう過ごしている?」など具体的な場面を聞くと、子どもが話しやすくなります。
学習のつまずき
授業についていけない、宿題が終わらない、テストで点が取れない、みんなの前で間違えるのが怖い。こうした学習面の不安も、小学生の不登校の原因になります。
特に算数や漢字は積み重ねの教科です。一度つまずくと、授業中に何をしているかわからず、教室にいるだけで強い不安を感じることがあります。
叱るより、「どこからわからなくなったか」を一緒に見つけることが大切です。必要であれば、家庭学習、オンライン学習、個別指導、フリースクール、教育支援センターなど、本人のペースで学び直せる環境を検討しましょう。
先生との相性や学校環境のストレス
先生の声が怖い、注意のされ方が苦手、教室がうるさい、席が落ち着かない、給食や体育がつらい。大人から見ると小さく見えることでも、小学生には大きなストレスになります。
特に発達障害や感覚過敏の特性がある子は、音、光、におい、人との距離、急な予定変更などで疲れやすいことがあります。「学校が嫌い」という言葉の裏に、教室環境が合わない問題が隠れていることもあります。
家庭環境の変化
引っ越し、転校、親の仕事の変化、家庭内の不和、きょうだい関係、祖父母の介護など、家庭内の変化も子どもの心に影響します。
ここで大切なのは、「母親のせい」「親のせい」と決めつけないことです。不登校は、家庭だけでなく、学校、友人関係、本人の特性、生活リズム、社会環境が複雑に絡み合って起こります。親が自分を責め続けると、子どもも「自分のせいで親を苦しめている」と感じてしまいます。
中学生・高校生の不登校に多い原因
中学生や高校生になると、不登校の背景はさらに複雑になります。
中学生は人間関係と学力差が大きな負担になりやすい
中学生は、友人関係が固定化しやすく、SNSや部活動の人間関係も広がります。クラスでの立ち位置、友達との距離感、グループ内の違和感が強いストレスになることがあります。
また、教科ごとに先生が変わり、定期テストや内申点への不安も増えます。小学校で少しずつ積み残した学習の遅れが、中学校で一気に表面化することもあります。
高校生は進路・単位・自立への不安が重なりやすい
高校生の不登校では、進路、単位、留年、中退、通信制高校への転学など、将来に直結する悩みが出てきます。
学校に行けない状態が続くと、本人も保護者も焦ります。しかし、焦りから無理に登校を迫ると、心身の不調が悪化することがあります。高校生の場合は、在籍校の支援、通信制高校、サポート校、フリースクール、オンライン学習、医療機関、スクールカウンセラーを早めに組み合わせて、進路の選択肢を減らさないことが大切です。
発達障害や特性が不登校の背景にあるケース
不登校の原因として、発達障害や発達特性が関係していることがあります。
たとえば、ADHD傾向がある子は、忘れ物、宿題の未提出、時間管理の苦手さから叱られる経験が増え、自信を失うことがあります。ASD傾向がある子は、友人関係の暗黙のルール、教室の刺激、予定変更、集団行動に強い負担を感じることがあります。学習障害がある子は、読む、書く、計算するなど一部の学習だけが極端に苦手で、授業や宿題が苦痛になることがあります。
これは努力不足ではありません。本人に合う環境調整、学習方法、座席、課題量、別室登校、ICT活用、専門機関との連携が必要です。
不登校の初期サイン
不登校は、ある日突然始まるように見えても、前から小さなサインが出ていることがあります。
体のサイン
- 朝になると腹痛や頭痛を訴える
- 吐き気、めまい、倦怠感がある
- 夜眠れない、朝起きられない
- 食欲が落ちる
- 学校に近づくと体調が悪くなる
心のサイン
- 学校の話を避ける
- 表情が暗い
- 無気力で何もしたがらない
- イライラや涙が増える
- 「自分はだめ」と言う
- 将来の話を極端に嫌がる
行動のサイン
- 宿題を強く拒否する
- 友達との連絡を避ける
- 遅刻や早退が増える
- 保健室に行く回数が増える
- ゲームやスマホの時間が急に増える
- 部屋にこもる時間が増える
ゲームやスマホそのものが悪いとは限りません。学校や現実のつらさから一時的に意識をそらしている場合もあります。取り上げる前に、まず「何から逃げたくなっているのか」を見てください。
親がやってはいけない対応
不登校の原因を知りたい気持ちは自然です。ただ、親の不安が強いと、子どもを追い詰める言葉が出てしまうことがあります。
避けたい対応は次の通りです。
- 「理由を言いなさい」と問い詰める
- 「甘えているだけ」と決めつける
- 無理やり登校させる
- 学校に行かないことを罰にする
- ゲームやスマホだけを原因と決めつける
- 兄弟や友達と比べる
- 「将来終わるよ」と脅す
- 親が自分を責め続ける
不登校の子どもは、学校に行けない自分をすでに責めていることが多いです。そこに正論を重ねると、家も安心できない場所になってしまいます。
親ができる対応
まず安心できる家庭環境を作る
最初の目標は、学校に戻すことではありません。子どもが家で安心して眠り、食べ、少し話せる状態を作ることです。
かけたい言葉は、次のようなものです。
- つらかったんだね
- 話してくれてありがとう
- 今日はまず休もう
- 理由がわからなくても大丈夫
- 一緒に考えよう
- 学校に行けるかより、今の体調を大事にしよう
状況をメモする
原因がわからないときほど、記録が役立ちます。
- 欠席、遅刻、早退の日数
- 朝の体調
- 睡眠時間
- 食欲
- 学校の話をしたときの反応
- 宿題や勉強への反応
- 友人関係の変化
- ゲームやスマホの時間
- 家庭内で変化した出来事
記録は、子どもを監視するためではなく、学校や専門家に状況を説明するために使います。
学校と連携する
担任だけで抱えず、養護教諭、学年主任、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとも連携しましょう。
相談したい内容は次の通りです。
- 学校での様子
- 友人関係やいじめの有無
- 授業や宿題の負担
- 保健室登校や別室登校の可否
- 登校時間を短くできるか
- 給食、体育、行事など苦手場面の調整
- 教育支援センターや教育相談の利用
- フリースクールや自宅学習の出席扱い
文部科学省は、不登校支援について「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が社会的に自立することを目指す必要があると示しています。復帰だけを急がず、子どもに合う学び方を探す視点が大切です。
学習の遅れが不安なときの選択肢
不登校が続くと、保護者は「勉強が遅れる」「進学できないのでは」と心配になります。
ただし、心身が限界のときに勉強を強く迫ると、学習そのものへの拒否感が強まることがあります。最初は、短時間でできるもの、本人が抵抗を感じにくいものから始めるのがおすすめです。
選択肢としては、次のようなものがあります。
- 学校のプリントを少量だけ進める
- 教科書の音読や動画解説を見る
- 無学年式のオンライン教材で戻り学習をする
- 個別指導や家庭教師を使う
- 教育支援センターで学習する
- フリースクールで生活と学びを整える
- 通信制高校やサポート校を検討する
自宅学習サービスやオンライン教材を紹介する場合は、「学校に戻すための道具」としてではなく、「本人のペースで学びを止めないための選択肢」として伝えると自然です。
専門機関に相談する目安
次の状態がある場合は、家庭だけで抱えず、早めに専門機関へ相談してください。
- 頭痛、腹痛、吐き気が続く
- 不眠や昼夜逆転が続いている
- 強い不安や抑うつがある
- 自傷行為がある
- 「消えたい」「死にたい」と言う
- いじめや暴力が疑われる
- 家庭内で親子関係が悪化している
- 保護者が限界を感じている
相談先には、学校のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育支援センター、教育相談所、児童相談所、医療機関、小児科、児童精神科、心療内科、地域の相談窓口などがあります。
自傷や「消えたい」という言葉がある場合は、様子見にせず、子どもを一人にしないでください。緊急性があるときは、救急、地域の医療機関、公的な相談窓口につないでください。
よくある質問
不登校の原因で一番多いものは何ですか?
文部科学省の令和6年度調査では、学校が把握した事実として「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談」「生活リズムの不調」「不安・抑うつ」「学業の不振」「友人関係の問題」などが多く挙げられています。ただし、不登校の原因は複数重なることが多いため、ランキングだけで判断しないことが大切です。
小学生の不登校の原因は何が多いですか?
小学生では、友人関係、先生との相性、学校環境への適応、学習のつまずき、家庭環境の変化、生活リズムの乱れ、発達特性などが原因になりやすいです。本人が理由を言葉にできないことも多いため、体調や行動の変化を丁寧に見る必要があります。
不登校の原因がわからないときはどうすればいいですか?
無理に原因を特定しようとせず、生活リズム、学校生活、友人関係、学習状況、心身の不調を整理しましょう。担任、養護教諭、スクールカウンセラーに相談し、必要に応じて教育支援センターや医療機関につなぐのがおすすめです。
不登校は親や母親のせいですか?
親や母親だけが原因とは限りません。不登校は、学校、友人関係、家庭環境、本人の特性、学習、心身の不調など複数の要因が絡み合って起こります。保護者が自分を責めすぎず、支援者と一緒に対応することが大切です。
親がまず自分の心を整えることも、子供の支援の一部です。必要であれば、メンタルケアアプリやオンラインカウンセリングを使って、保護者自身が気持ちを整理する時間を作るのも大切です。
発達障害があると不登校になりやすいですか?
発達障害や発達特性がある子は、教室の刺激、集団行動、友人関係、宿題、時間管理などで負担を感じやすく、不登校の背景になることがあります。ただし、発達障害があるから必ず不登校になるわけではありません。本人に合う環境調整と支援が重要です。
不登校でも出席扱いになる方法はありますか?
一定の条件のもとで、教育支援センター、フリースクール、ICTを活用した自宅学習などが指導要録上の出席扱いになる場合があります。判断は学校や教育委員会が行うため、在籍校に相談してください。
まとめ:原因探しより、安心と支援につなげることが大切
不登校の原因は、学校生活への意欲低下、生活リズムの乱れ、不安や抑うつ、友人関係、学習のつまずき、先生との相性、家庭環境、発達障害などの特性が複雑に重なっていることが多いです。
小学生の場合は、本人が理由を言葉にできず、腹痛、頭痛、朝起きられない、宿題の拒否、表情の変化として現れることがあります。中学生や高校生では、人間関係、学力差、進路、単位、SNS、部活動なども大きな負担になります。
親ができる最初の対応は、原因を問い詰めることではなく、子どもが安心できる家庭環境を作ることです。そのうえで、学校、スクールカウンセラー、教育支援センター、医療機関、フリースクール、オンライン学習など、子どもに合う支援を組み合わせていきましょう。
不登校は、失敗でも問題行動でもありません。子どもが今の環境に限界を感じているサインとして受け止め、社会的自立につながる学びと居場所を一緒に探していくことが大切です。











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