「うちの子、学校に行きたくないって言うけど、これって甘えなの？」
不登校の悩みは、親にとってとてもつらいものです。怠けているのか、それとも本当に苦しいのか、その違いが見えないまま、どう対応すればいいか分からなくなることもあります。
実は、多くの“不登校”は「甘え」ではなく、心のSOS。
この記事では、不登校が起こる本当の背景と、「甘え」に見える行動の正体、そして親ができる支え方を心理学の視点から分かりやすく解説します。
不登校は「甘え」なのか？まず前提を整理しよう
子どもが学校へ行けなくなると、親として最初に浮かぶのが「もしかして甘えているのでは？」という不安です。
特に周囲から「うちの子は頑張ってるのに」「行かせた方がいい」と言われると、「自分が甘やかしているのかも」と自責の念に駆られることも少なくありません。
しかし、心理学的に見ると、不登校は単なる“怠け”や“わがまま”ではなく、心のエネルギーが限界を迎えた状態であることが多いのです。
子どもは自分の力では処理しきれないストレスや不安を感じると、「学校に行きたくない」という形で心身を守ろうとします。これは一種の自己防衛反応であり、「逃げる＝弱い」ではなく、「守る＝必要な反応」です。
実際に、文部科学省の調査でも、不登校の背景には「人間関係の不安」「学業不振」「疲労」「自己肯定感の低下」など、複数の心理要因が絡み合っていることが分かっています。
つまり、不登校を“甘え”と切り捨ててしまうと、本来向き合うべき原因が見えなくなってしまうのです。
不登校とは、「行きたくない」のではなく、「行きたいけれど行けない」。
その違いを理解することが、不登校を理解するとしての第一歩です。
「甘え」と見える行動の正体｜心理学から見る3つの背景
「朝になるとお腹が痛い」「家では元気なのに学校の話になると黙る」——こうした行動を見て、「甘えている」と感じる親御さんは多いでしょう。
けれども、その裏には“甘え”ではなく、次のような心理が隠れています。
以下3つの背景はいずれも「甘え」ではなく、SOSのサインです。
親が「この子は助けを求めているんだ」と理解するだけで、子どもの心は少しずつ安心を取り戻していきます。
安心依存型（安全基地を求める反応）
家や親のそばにいることで安心を感じるタイプです。学校という環境が不安や緊張の源になっているため、外に出ると極度のストレスを感じます。親に甘えているように見えても、それは「安心を確かめている行動」です。
自己防衛型（失敗や評価が怖い）
成績や人間関係で傷ついた経験があり、「また失敗したらどうしよう」という恐怖から行動が止まります。これは「逃避」ではなく、「再び傷つかないための防衛反応」。
過剰順応型（頑張りすぎて燃え尽きたタイプ）
真面目で責任感が強く、常に「いい子」でいようと努力してきた結果、限界に達して動けなくなるケースです。
一見「怠けた」と思える状態でも、心のエネルギーがゼロに近い「燃え尽き」状態。回復には時間が必要です。
本当に“甘え”が原因の場合もある？見極めのポイント
とはいえ、中には「不登校を理由にゲームばかり」「家事もしない」といった行動が見られることもあります。
このようなとき、「やっぱり甘えているのでは？」と感じるのも自然な反応です。
心理的には、“甘え”と“依存”には境界があります。
甘えは安心を得るための自然な欲求であるのに対し、依存は努力を避けるための逃避です。
見極めのポイントは、「本人に“自分で考える意思”が残っているかどうか」です。
例えば、
- 「行きたい気持ちはあるけど怖い」→心の準備中（甘えではない）
- 「別に学校なんて行かなくていい」→逃避型依存（対応が必要）
この違いを理解するには、親が子どもの言葉を評価せずに聴く姿勢を持つことが大切です。
また、甘えの背景には「親にもっと見てほしい」「安心したい」という心理が隠れていることも多く、頭ごなしに否定すると、子どもはますます閉じこもります。
つまり、“甘え”のように見える行動も、支援の方向性を見極めるサインなのです。
「甘え」と感じた時に親がやってはいけない3つのNG対応
「このままではずっと家にいるのでは？」という不安から、つい強く言ってしまう親御さんも多いでしょう。しかし、以下の対応は子どもの心を追い詰めてしまうことがあります。
「怠けないで」と叱る
叱責は一時的に行動を変えるように見えても、根本的な不安は増すばかり。自尊感情が下がり、ますます動けなくなります。
「早く学校へ行きなさい」と強制する
行動の強制は、信頼関係を壊しやすい対応です。行けない理由が解決していない状態では、登校は再発のリスクになります。
「全部自分のせい」と責める
親が自分を責めすぎると、子どもは「自分が悪いから親が苦しんでいる」と感じ、罪悪感でさらに閉じこもります。
どんなに心配でも、焦りは子どもの安心を奪うという点を忘れないでください。
「大丈夫、あなたのペースで考えよう」と伝えるだけで、親子関係は回復の方向へ動き出します。
「甘え」を力に変える親の関わり方5選
では、どうすれば“甘え”を前向きな力に変えられるのでしょうか？
ポイントは、「甘え＝信頼」と捉え、安心感を基盤に少しずつ自立を促すことです。
安心できる居場所を保つ
叱るより、話を聴く。安心できる家庭環境が、再挑戦のエネルギー源になります。
小さな挑戦を見守る
「朝着替えられた」「10分外に出られた」など、小さな成功を認めてあげましょう。成功体験が自己効力感を育てます。
結果ではなく過程を認める
「行けた／行けない」で判断せず、「どう感じたか」「何を頑張ったか」を話題にすることで、子どもは安心して自己表現できます。
親が焦らず穏やかに関わる
親の感情が安定しているほど、子どもは安心して外へ向かう力を取り戻します。
専門機関と連携して支える
スクールカウンセラーや心理士、フリースクールなど外部の手を借りることで、親の負担も軽減されます。
オンラインカウンセリング
Kimochi
「Kimochi」は、公認心理師のみがカウンセリングを担当する、安心・信頼のオンラインカウンセリングサービスです。
恋愛、仕事、人間関係、家庭の悩みなど、年齢とともに変化する心の課題に寄り添い、気軽に相談できる場として、多くの方に支持されています。
忙しくても自宅で受けられる ビデオ通話・チャット相談 など、ライフスタイルに合わせた相談形式を用意。
「誰にも話せない悩みを安心して打ち明けたい」「専門家の視点からアドバイスがほしい」という方に、
手軽に利用できる心のケアツールです。
フリースクール
aini school 小・中等部
遊んで学ぶ！心が元気になる！
オンラインをベースにしたオルタナティブスクール（フリースクール）です。
フリー！フラット！オープン！を大切に、1人ひとりの特性や、自由な選択を最大限に尊重。
オンラインを超えた質の高いコミュニケーションと、
“そのままで大丈夫”と感じられる安心感のある学び場と居場所を提供します。
仲間と楽しく取り組む活動や、社会で活躍するたくさんの大人たちによる多彩な授業。
いろんな生き方があっていい、たくさんの個性があっていい、ありのままの自分で大丈夫。
多様な世界や生き方に毎日触れながら楽しく学べる、新しい時代の学校です。
クラスジャパン小中学園
クラスジャパンは2018年に開校したオンラインフリースクールです。
生徒一人ひとりに担任が伴走し、子どもが自分のペースで勉強ができるようサポート。勉強以外にもeスポーツ、プログラミング、イラストなど、得意を伸ばす部活動もある不登校生徒の新しい居場所です。
これまでに1500人以上の子どもたちをサポートしてきました。
将来の進路選択の際に不登校が不利益になることのないよう、社会的自立や参加を実現するための環境作りに取り組んでいます。
まずは初月利用料無料のトライアル入会からお試しできます。
不登校は「成長の一段階」甘えでも否定せずに見守る勇気
不登校の時期は、子どもにとって“自分を見つめ直す時間”でもあります。
「甘え」を否定せず、「今は休む時期なんだ」と受け入れることが、回復への第一歩です。
やがて子どもは、「自分の気持ちを理解してもらえた」という安心感から、再び動き出します。
そのとき親は、「甘えさせすぎた」ではなく、「信頼を積み重ねた」と思ってください。
不登校は、失敗ではなく成長のプロセス。
甘えを責めるより、支える。
その姿勢こそが、子どもが再び未来へ歩き出す力になるのです。
【FAQ】よくある質問
不登校は甘えなんですか？
多くの場合は甘えではなく心のSOSです。子どもは安心を求めて行動していることが多く、まずは理解と寄り添いが必要です。
どこまで甘えを許していいのでしょうか？
何でも親が代わりにするのではなく、子どもに考える余地を残すことが大切です。境界を意識しつつ安心を支えましょう。
甘えを放置すると依存してしまいませんか？
過剰な甘えを放置するのは避けるべきですが、まずは回復の期間と捉え、段階的に支援することが効果的です。
【まとめ】不登校は甘えではなく心のSOS
不登校は甘えではなく、心のSOS。
親が焦らず寄り添い、安心を支えることで、子どもは少しずつ自分の力を取り戻します。
「甘え」を否定せず、成長のプロセスとして受け止めましょう。
コメント