小学生の不登校は年々増えており、決して珍しいことではなくなりました。しかし、実際にわが子が学校へ行けなくなると、多くの親御さんは「どうして？」「理由が分からない」「自分の接し方が合っているのか不安」と戸惑いを抱きます。とくに小学生は、自分の気持ちをうまく言語化できない時期のため、大人が思っている以上に“複雑な心理状態”を抱えています。
本記事では、不登校の小学生が抱える気持ちを丁寧にひも解き、背景にある要因、親ができるサポート方法、SOSの見抜き方までを体系的に解説します。「原因が分からないまま不安だけが膨らんでいく状態」を解消し、子どもが安心して回復していくための「理解のガイド」としてお使いいただけます。
不登校の小学生が抱えやすい“気持ち”とは？最新データと専門家の見解
学校に行けない自分を責める「罪悪感」
小学生が不登校になると、多くの子どもがまず抱えるのが「罪悪感」です。
「行かなきゃいけないのに行けない」「お母さんや先生に迷惑をかけている」と感じ、胸の奥に重い石を抱えているような状態になります。とくに真面目な子ほど、休むこと自体を「悪いこと」と捉え、気持ちがさらに落ち込みやすくなります。
親から見れば「ゆっくり休んで大丈夫だよ」と伝えているつもりでも、子ども自身は“義務を果たせていない”と感じてしまうのです。
罪悪感は表情や言動には出にくく、一見元気にゲームをしていても内側で抱え込み続けるケースもあります。
人間関係のストレスから生まれる「不安」
友だちとのトラブル、クラスの雰囲気、先生との相性など、小学生は大人が想像する以上に人間関係の影響を受けます。とくに「友達から何か言われた」「グループに入りづらい」といった小さなつまずきが不安につながり、「行ったらまた同じことが起こるかも」という予期不安を強めます。
小学生はまだ対処スキルが未成熟なため、緊張・不安をうまく処理できず、そのまま身体症状として朝の頭痛・腹痛を引き起こすことも珍しくありません。
朝になるとつらくなる「行きしぶりの心理」
朝だけ急に具合が悪くなるのは、怠けや甘えではありません。
子どもにとって、学校は“刺激が多くエネルギー消耗の大きい場所”であり、行くことを考えるだけで心身が緊張状態に入るためです。この状態では、交感神経が優位になり、腹痛、吐き気、頭痛、だるさなどが出やすくなります。
親が「昨日は元気だったのに」と感じるのは自然ですが、これは「緊張のスイッチが入る時間帯」に症状が出ているだけで、矛盾ではありません。
親にも言えない「本音を隠す理由」
子どもは、親を心配させまいとする「忖度（そんたく）」を意外と強く持っています。「本当の理由を言ったら怒られるかも」「心配かけたくない」という気持ちから、核心を語らず「別に…」「理由はない」と答えることがあります。
また、自分でも感情を整理できず、うまく説明できないケースも多いです。本音を話さなくても、信頼が失われたわけではありません。むしろ“信頼しているからこそ言いづらい”という場合もあります。
不登校の小学生の気持ちはなぜ複雑になるのか？背景にある3つの要因
自尊感情の低下｜「できない自分」に落ち込む心理
小学生は自己肯定感がまだ十分に育っておらず、学校生活の小さな失敗が強いダメージになります。
「みんなできているのに、自分だけできない」と感じると、失敗を恐れてチャレンジしなくなる“学習性無力感”に陥ることもあります。
これが続くと、学校に行くこと自体が大きなストレスとなり、気持ちがどんどん重くなってしまいます。
感覚過敏・環境ストレスなど発達特性が影響するケース
大きな音・ザワザワした教室・急な予定変更に強いストレスを感じやすい子は、学校の環境に過刺激を受けて疲れやすくなります。
発達特性があっても“不登校の理由を明確に言語化できない”子が多く、本人はただ「疲れる」「なんとなく無理」としか言えません。
大人が環境要因を理解してあげることで、子どもの気持ちは大きく軽くなります。
家庭環境・コミュニケーションの変化が影響しやすい理由
引っ越し、クラス替え、習い事の増加、きょうだいの誕生など、日常の変化が重なると、子どもの心のキャパシティはすぐにいっぱいになります。
親子関係が悪いという意味ではなく、“微妙な変化の積み重ね”が心の負担になるのです。
小学生は言語化が苦手なため、気持ちの変化が行動として現れ、不登校につながりやすくなります。
親が知っておくべき“不登校期のサイン”と子どもの心のSOS
朝の頭痛・腹痛が続く理由は「心の負荷」かもしれない
身体症状は、子どもの最大のSOSです。
医療的な問題がないのに痛みが続く場合、“行くことへの心理的負荷”が原因になっていることが多いです。
「仮病？」と捉えられがちですが、実際は心が限界に近づいたときの自然な反応であり、責めれば悪化します。
「大丈夫」と言う子ほど危険？本音を隠す子の共通点
本音を言えない子は以下の特徴を持つことが多いです。
親の様子をよく観察している 甘え下手 真面目で我慢強い 先生に褒められたい気持ちが強い
「大丈夫」は“本心ではないサイン”として受け取ることが大切です。
ゲーム・動画に没頭するのは逃げではなく“安心の確保”
ゲームや動画に没頭するのは、心が疲れている時の“自己治癒行動”としての側面があります。
刺激をコントロールできる世界は、外の世界で傷ついたメンタルを回復する役割を持っています。
「依存しているのでは？」と不安になる親御さんは多いですが、急に制限すると逆に不調を悪化させてしまうことがあります。
不登校の小学生の気持ちに寄り添うための具体的な接し方
否定しない・急かさない─話を聞くときの“3原則”
評価しない（正しい・間違っていると言わない） 否定しない（励ましすぎない） 急かさない（早期復帰を目標にしない）
この3つを守るだけで、子どもの安心度は大きく変わります。
「行きたくない理由」を無理に聞き出さない方がいい理由
理由を聞き出すと、子どもは答えられない自分を責めてしまったり、“答えないといけない”と感じて追い詰められます。
本当に話したくなった時に話せるように、安心できる雰囲気をつくることが最優先です。
家庭でできる“安心ルーティン”の作り方
不登校期の子どもには「分かりやすい安心の流れ」が必要です。
例)
- 朝はゆっくり起きてもOK
- 家でできる簡単な活動を1つだけ（工作・散歩など）
- 午後は自由時間
- 夜は家族でゆっくり過ごす
無理なスケジュールは回復を遅らせます。
自己肯定感を回復するための声かけ例（OKワード集）
- 「あなたのペースで大丈夫だよ」
- 「学校に行けることより、元気でいてくれることが大事」
- 「話してくれてありがとう」
- 「できたことを一緒に喜ぼう」
このような声かけは、子どもに“安心していいんだ”という感覚を積み重ねます。
誰に相談すべき？親だけで抱え込まないための支援先一覧
スクールカウンセラーに相談するメリット
校内の状況を把握している 子どもの特性に合った配慮を提案できる 先生との橋渡し役になってくれる 学校の人間関係が原因であっても、第三者として相談に乗ってくれます。
Kimochi
「Kimochi」は、公認心理師のみがカウンセリングを担当する、安心・信頼のオンラインカウンセリングサービスです。
恋愛、仕事、人間関係、家庭の悩みなど、年齢とともに変化する心の課題に寄り添い、気軽に相談できる場として、多くの方に支持されています。
忙しくても自宅で受けられる ビデオ通話・チャット相談 など、ライフスタイルに合わせた相談形式を用意。
「誰にも話せない悩みを安心して打ち明けたい」「専門家の視点からアドバイスがほしい」という方に、
手軽に利用できる心のケアツールです。
小学生専門の不登校支援塾・フリースクールの活用法
子どもが安心して通える場所を確保するだけで、心が安定しやすくなります。
家庭以外の“安全基地” 同じ経験をした子との出会い 丁寧な個別対応 学校復帰だけを目的にしない場所として、非常に有効です。
aini school 小・中等部
遊んで学ぶ！心が元気になる！
オンラインをベースにしたオルタナティブスクール（フリースクール）です。
フリー！フラット！オープン！を大切に、1人ひとりの特性や、自由な選択を最大限に尊重。
オンラインを超えた質の高いコミュニケーションと、
“そのままで大丈夫”と感じられる安心感のある学び場と居場所を提供します。
仲間と楽しく取り組む活動や、社会で活躍するたくさんの大人たちによる多彩な授業。
いろんな生き方があっていい、たくさんの個性があっていい、ありのままの自分で大丈夫。
多様な世界や生き方に毎日触れながら楽しく学べる、新しい時代の学校です。
クラスジャパン小中学園
クラスジャパンは2018年に開校したオンラインフリースクールです。
生徒一人ひとりに担任が伴走し、子どもが自分のペースで勉強ができるようサポート。勉強以外にもeスポーツ、プログラミング、イラストなど、得意を伸ばす部活動もある不登校生徒の新しい居場所です。
これまでに1500人以上の子どもたちをサポートしてきました。
将来の進路選択の際に不登校が不利益になることのないよう、社会的自立や参加を実現するための環境作りに取り組んでいます。
まずは初月利用料無料のトライアル入会からお試しできます。
医療機関を検討すべき“心のサイン”とは
眠れない・起きられないが長期間続く 食欲不振・過度の疲労 強い不安やパニック このような症状が続く場合は、児童精神科や小児科の相談が必要です。
不登校は“悪いこと”ではない｜未来につながる考え方
「休む時間」は回復のプロセス
心が疲れた時、休むことは自然で大切な行動です。回復のステップを踏むことで、将来のストレス対処力も育ちます。
小学生の不登校はやり直しが効く理由
小学生の段階で立ち止まり、心のケアを受けられることは大きなプラスです。学習も関係も、いくらでも取り戻せます。
親が罪悪感を持たないためのマインドセット
「良い・悪い」で判断せず、“子どもの成長の一部”と捉えることで、親子ともに気持ちが軽くなります。
【FAQ】よくある質問
Q1. 小学生が不登校になると、どんな気持ちになることが多いですか？
多くの子どもが「行けない自分を責める罪悪感」「友だち関係の不安」「朝だけ具合が悪くなる緊張」「本音が言えない辛さ」など、言語化しにくい気持ちを複雑に抱えています。行動に表れなくても内側で葛藤しています。
Q2. 子どもが理由を言ってくれないのはなぜですか？
小学生は自分の気持ちを整理する力がまだ弱く、うまく説明できないケースが多いです。また、親を心配させないために“本音を隠す”子もいます。言わない＝信頼していない、ではありません。
Q3. 朝になると頭痛や腹痛を訴えるのは、甘えですか？
甘えではありません。学校への緊張や不安が身体症状として表れていることが多く、心理的負荷のサインです。責めると悪化しやすいため、まずは安心させることが大切です。
Q4. ゲームや動画ばかりなのは不登校を悪化させますか？
一概に悪化とは言えません。心が疲れているとき、ゲームや動画は“安心できる環境”として機能し、回復の助けになることがあります。急に制限すると逆効果になることもあります。
Q5. 親はどんな接し方をすればいいですか？
「否定しない」「急かさない」「無理に理由を聞かない」が基本です。子どものペースを大切にし、安心できる家庭環境を整えることで回復が早まります。声かけは「あなたのペースで大丈夫」が効果的です。
Q6. どのタイミングで相談機関に頼った方がいいですか？
・心身の不調が長引く
・強い不安や緊張が続く
・家庭で抱えきれないと感じた
という場合は、スクールカウンセラー、フリースクール、児童精神科などへの相談を検討してください。
Q7. 小学生の不登校は将来に影響しますか？
適切なサポートがあれば、大きな影響はありません。むしろ、小学生の段階で心のケアができるのは大きなプラスです。学習も人間関係も、十分取り戻すことができます。
【まとめ】不登校の小学生の気持ちを理解することが最初の一歩
不登校の小学生が抱える気持ちは、「行きたくない」というシンプルな言葉の裏に、罪悪感、不安、緊張、疲れ、本音の隠し場所のなさなど、さまざまな心理が絡み合っています。
子ども自身も理由を理解できず、大人に説明できないことは珍しくありません。
親がすべきことは、「なぜ行けないのか」を追及することではなく、「今どんな気持ちでいるのか」を理解し、安心できる環境を整えることです。
安心が満たされれば、子どもの気持ちは自然と軽くなり、回復の力が戻ってきます。
そして、不登校は“失敗”ではありません。
むしろ、心の成長に必要な休憩の時間であり、親子が新しい関係性を築くチャンスにもなります。
焦らず、責めず、子どものペースを大切にしながら、必要な支援を活用しつつ前へ進んでいくこと。それが、小学生の不登校克服に最も大切な姿勢です。
