中学生の不登校に向き合う親御さんの中には、「勉強は?生活リズムは?何かさせたほうがいいの?」と、焦りや不安を抱いている方も多いでしょう。不登校は、「やる気がない」「逃げている」などの単純な問題ではありません。背景には、心の疲れ、傷つきやすさ、自信の低下など、繊細な感情の揺れが隠れていることがほとんどです。
特に中学生は心身ともに揺れやすい発達段階であり、「どう過ごすか」だけでなく「どう支えるか」も親として問われる時期です。当記事では、不登校の中学生に「何をさせるべきか」について、心理学や教育の観点から分かりやすく解説します。また、家庭でできる対応や避けるべき関わり、復学につながるステップなど、実践的なヒントも多数紹介。
「正しい対応を知ることで、親子で苦しさを減らすことができる」──その一歩を踏み出すきっかけとなる情報を、丁寧にお届けします。
不登校の中学生に「何をさせるか」が重要な理由
中学生の不登校では、親が「何をさせるべきか」で迷うことが非常に多いものです。学校に行けない日が続くと、「勉強を遅らせたくない」「生活リズムが崩れるのでは」「ダラダラ癖がついてしまう」といった不安が強まり、つい何か“させよう”と働きかけてしまいます。けれど、この時期の子どもは心身が大きく消耗しており、親の善意が逆に負担になるケースもよくあります。
そのため本当に大切なのは、「何をさせるか」よりも、今の状態に合った“回復を妨げない関わり方”を選べているかどうか です。不登校の背景は、学校での人間関係のストレス、学業へのプレッシャー、過剰適応、発達特性、生活リズムの乱れなど、子どもによって異なります。共通して言えるのは、心が疲れ切った状態では行動する力そのものが低下しているということ。だからこそ、親が“何をさせるか”の判断がその後の回復速度や自己肯定感に大きく影響するのです。
以下では、その理由を3つの観点で深掘りします。
やみくもに課題や勉強をさせても逆効果になるワケ
不登校初期の子どもに、家庭学習や課題に取り組ませようとすると、ほぼ例外なく強い抵抗が生まれます。これは「怠け」ではなく、心のエネルギーが底をつき、判断力や集中力が落ちた状態だからです。
この時期に勉強を強制すると、
- できない自分に落ち込む
- 親に対する不信感が強まる
- 自己肯定感がさらに下がる
- 家庭内での会話が減る
- 回復までの期間が長引く
といった悪循環を生みます。
中学生が不登校になる背景には「もうこれ以上頑張れない」というメッセージが隠れています。そこに「頑張れ」「やりなさい」が重なると、子どものエネルギーがさらに削られ、むしろ動けなくなるのです。
日中に何もできない、布団から出られない、ゲームしかできない──
そんな姿も、実は“休む力すら奪われているサイン”であり、叱るべきものではありません。
まずは心のエネルギーを補給する時期だと理解し、“やらせる前に回復”を最優先にすることが、結果的に早い復学や再スタートにつながります。
中学生の不登校で最も崩れやすい「生活リズム」「自己肯定感」
中学生は睡眠やホルモンの変化が激しい時期です。不登校が始まると、ほぼ確実に崩れるのが以下の2つ。
生活リズム(特に睡眠)
昼夜逆転が進むと、頭痛・だるさ・やる気の低下が起こり、学校復帰も難しくなります。
しかし、無理に朝起こす・強制すると、親子関係が悪化し、さらに体調が悪くなることもあります。
生活リズムは「整える」のではなく 徐々に戻す が正解です。
自己肯定感の低下
不登校になると、子どもは必ずと言っていいほど
- 「自分はダメだ」
- 「みんなに迷惑をかけている」
- 「戻りたいけど戻れない」
と自分を責め、劣等感でいっぱいになります。
この状態で勉強をさせても、「どうせできない」という気持ちが先に立ち、手につきません。
逆に、生活の中で小さな成功(散歩できた、朝起きられた、家事を手伝えた)を積み上げると、少しずつ気力が戻ります。
親が意識すべきは、
“できていないところ”を見るのではなく、“できている部分”を言語化して伝えること。
これが回復の土台になります。
親が迷い、子どもが苦しくなる典型パターン
不登校初期の親子でよく起きるすれ違いがあります。
- 親「動かないから心配」
- 子「動けないのを責められて苦しい」
親は“良かれと思って”言っているのに、子どもには“否定”に聞こえる。このズレが大きくなると、子どもはさらに家族から距離を取ろうとします。
典型的な悪循環は以下のとおりです。
- 親が焦る
- 子どもに何かさせようとする
- 子どもが疲れやすく、できない
- 親の不安が強まる
- 声かけが厳しくなる
- 子どもがさらに動けなくなる
この状態を断ち切る鍵は、
「回復に必要なステップは、子どもによって違う」と認めること
です。
親が焦りを手放し、子どものペースを受け入れると、不思議と行動のエネルギーが戻ってきます。
逆に、焦りから“何かさせる”を急ぐと、改善が大きく遅れます。
不登校の中学生に“まずさせるべきこと”3つの柱
中学生が不登校になると、親は「何から立て直せばいいのか」「勉強?生活習慣?外出?」と迷います。しかし、不登校の改善には順序があります。まずは 心身が回復できる土台を整えることが第一 で、その上で次のステップへ進む必要があります。
不登校支援において専門家が共通して重視するのが、次の3つの柱です。
① 生活サイクルを整える(起床・食事・昼夜逆転の緩和)
不登校になると必ずといっていいほど崩れるのが睡眠と生活リズムです。寝る時間が遅くなり、昼まで起きられず、食事も不規則になる。この状態が続くと、倦怠感・頭痛・集中力低下が慢性化し、「動きたいのに動けない」状態に陥ります。
しかし、ここでやるべきは “無理に朝起こす”ではありません。
強制は親子関係を悪化させ、子どもはますます布団にこもります。
生活サイクルを戻すコツは、
起床時間を15〜30分ずつ前倒ししていく“緩やかな改善” です。
さらに効果的なのは、
朝カーテンを開けて日光を入れる 朝食を一口でも食べてもらう 寝る前のスマホ・ゲームは徐々に短縮 昼間に軽い活動(家事・散歩)を入れる
といった「生活のスモールステップ」です。
いきなり学校時間に合わせる必要はありません。
回復の初期は、“昼夜逆転が少し緩んだらOK” くらいの気持ちで十分です。
② やりたいことを言語化できる“安心の対話時間”をつくる
不登校の子どもは、自分の気持ちをうまく言葉にできません。
「行きたいけど行けない」「自分でも理由がわからない」
そんな葛藤を抱えています。
親がすべきことは 問い詰めるのではなく“聴く” こと。
「今日はどんな気分?」 「しんどい時はどうしてほしい?」 「今できそうなこと何かある?」
このような“開かれた質問”を投げ、答えを急かさない。
無理に答えなくてもいいという姿勢が、安心感を生みます。
また、言語化が難しい時は、
気持ちの選択カード 日記・メモアプリ 親子交換ノート
など非対面のコミュニケーションも有効です。
子どもが「自分の気持ちは受け止めてもらえる」と感じたとき、
はじめて行動意欲が生まれます。
対話は行動の入口 なのです。
③ 家の中でできる「小さな成功体験」を積ませる
不登校になると自己肯定感は必ず低下します。
そこで効果を発揮するのが 家庭内での成功体験 です。
成功体験とは、大きな成果ではなく、
ゴミ出しを手伝えた 朝起きられた 散歩に5分行けた ゲームの合間に歯磨きできた
といった“できたことの積み重ね”です。
親が「ありがとう」「助かったよ」とフィードバックすれば、
子どもは「自分でも役に立てる」と感じ、自己評価が上がります。
心理学的にも、小さな成功は
自己効力感の回復 行動への意欲向上 気力の回復
につながるとされています。
不登校改善は、小さな成功の積み重ね以外に近道はありません。
【状況別】不登校の中学生におすすめの過ごし方・取り組み
不登校の状態は「初期」「無気力期」「回復期」で必要な対応が大きく違います。状態に合わない支援は逆効果になることもあるため、段階に応じた関わりが重要です。
学校に行けない初期:刺激を減らし、まずは回復を優先
初期は、心身が限界まで疲れている“緊急時期”です。この時期にすべきはただ一つ。
とにかく休ませる。
布団から出られなくてもOK 学校の話はしない 課題・勉強の強制はNG 生活指導は最小限
刺激を減らし、安心できる環境づくりに徹します。
ポイントは、
「何もできない」=回復が必要なサイン
と理解することです。
昼夜逆転・無気力期:生活リズム改善の具体ステップ
無気力期は、動きたいのに動けない状態。
親が焦りを見せると悪化します。
生活リズム改善のステップは以下の通り。
起床時間を少し早める 朝に光を浴びる 昼に軽い活動を入れる(5分散歩など) 寝る前の刺激(スマホ・ゲーム)を少し減らす 寝るまでの入眠ルーティンを作る
これを 2週間単位 でゆっくり続けることがポイントです。
ゲーム・動画に依存しがち:やめさせるのではなく“使い方”を調整
不登校の子どもの多くがゲーム・動画に依存しますが、
これは「逃避」ではなく 心の負担を和らげる自己調整行動 です。
禁止や没収は逆効果で、親子関係が壊れます。
代わりに、次のような「折り合い」を提案します。
時間ではなく“区切り”で切り上げる 食事・入浴など生活動作を条件に小さなルールを作る 親がゲームの内容に興味を持つ。
強制から共有へ変わると、子どももルールを受け入れやすくなります。
気力が戻りかけ期:外出リハビリ/学びの再スタート
気力が戻り始めたら、行動の“幅”を少しずつ広げます。
家の近所を散歩 図書館・コンビニへ外出 家事の手伝い 興味のあるオンライン学習 フリースクールの体験
焦らず、「できること」から順に増やす のが鉄則です。
不登校の中学生に「やってはいけないこと」一覧
不登校支援は「しないほうがよいこと」を避けるだけで、大きく改善が進む場合があります。
無理に学校へ連れていく
意外に親がやりがちなのが「今日は行けそう?」と朝に促すこと。
しかし、不登校初期で無理に登校させると、
学校への拒否感が強まる 再度いけなくなる確率が上がる 親子関係が悪化する
とデメリットだらけです。
勉強を強制して“罪悪感”を与える
不登校の子どもはすでに「迷惑をかけている」と自分を責めています。
そこに勉強の強制が加わると、罪悪感が爆発します。
勉強は 回復期に入ってから で十分です。
「他の子と比べる」「将来どうするの?」の圧力
比較は自己肯定感を破壊します。
本人が最も苦しんでいる時期に未来を責める言葉は禁句です。
原因を親子で追及しすぎる
原因を詰めることは子どもにとって拷問に近いものです。
不登校の原因は複合的で、本人も自分で理解できていません。
原因探しより 今の気持ちの理解と回復のサポート が先です。
家庭でできる“勉強以外の学び”の選択肢
不登校の期間は「空白」ではありません。むしろ、
自分の興味を深め、できることを増やす貴重な時間 に変えることができます。
オンライン習いごと・在宅ワーク体験
自宅で完結できる学びは相性が良いです。
オンライン英会話 プログラミング デザイン 動画編集
中学生でも取り組め、将来に生かせます。
創作・運動・興味分野を深める活動
勉強以外の「得意」を育てる時間にも最適です。
絵・音楽・ものづくり 筋トレ・ストレッチ 料理 ペットの世話 読書
どれも自己肯定感を高める要素になります。
認知行動療法ベースの“できたこと記録”
心理療法でも用いられる「できたことメモ」は、不登校の子に効果的です。
起きられた ご飯食べられた 外に出れた 家事を手伝えた
この記録を続けると、
「自分は何もできない」という歪んだ認知が修正されます。
家庭でのメンタルケアのポイント
親のかかわり方こそが最大の支援です。
批判より共感 指導より傾聴 結果よりプロセス 完璧を求めない
これだけで子どもの安心は大きく増し、
回復スピードも上がります。
学校・専門機関と連携するときのポイント
学校との連携は、復学や進路のために欠かせませんが、
“タイミング” と “距離感” が非常に重要です。
担任との連絡頻度は?
週1回〜2週に1回が目安です。
連絡の目的は「現状共有」であり、登校のプレッシャーをかける場ではありません。
スクールカウンセラーの上手な使い方
子どもが直接話せなくても、親が相談してOKです。
家庭での接し方のアドバイスをもらえるだけで、状況は大きく改善します。
Kimochi

「Kimochi」は、公認心理師のみがカウンセリングを担当する、安心・信頼のオンラインカウンセリングサービスです。
恋愛、仕事、人間関係、家庭の悩みなど、年齢とともに変化する心の課題に寄り添い、気軽に相談できる場として、多くの方に支持されています。
忙しくても自宅で受けられる ビデオ通話・チャット相談 など、ライフスタイルに合わせた相談形式を用意。
「誰にも話せない悩みを安心して打ち明けたい」「専門家の視点からアドバイスがほしい」という方に、
手軽に利用できる心のケアツールです。
フリースクール・適応指導教室の見極め方
見極めポイントは、
子どもが安心できる雰囲気か 無理に登校を促さない方針か 子どものペースを尊重してくれるか
です。
体験利用で「行けそう」と子どもが感じた場所は長続きします。
aini school 小・中等部

遊んで学ぶ!心が元気になる!
オンラインをベースにしたオルタナティブスクール(フリースクール)です。
フリー!フラット!オープン!を大切に、1人ひとりの特性や、自由な選択を最大限に尊重。
オンラインを超えた質の高いコミュニケーションと、
“そのままで大丈夫”と感じられる安心感のある学び場と居場所を提供します。
仲間と楽しく取り組む活動や、社会で活躍するたくさんの大人たちによる多彩な授業。
いろんな生き方があっていい、たくさんの個性があっていい、ありのままの自分で大丈夫。
多様な世界や生き方に毎日触れながら楽しく学べる、新しい時代の学校です。
クラスジャパン小中学園

クラスジャパンは2018年に開校したオンラインフリースクールです。
生徒一人ひとりに担任が伴走し、子どもが自分のペースで勉強ができるようサポート。勉強以外にもeスポーツ、プログラミング、イラストなど、得意を伸ばす部活動もある不登校生徒の新しい居場所です。
これまでに1500人以上の子どもたちをサポートしてきました。
将来の進路選択の際に不登校が不利益になることのないよう、社会的自立や参加を実現するための環境作りに取り組んでいます。
まずは初月利用料無料のトライアル入会からお試しできます。
【FAQ】よくある質問
不登校の中学生にはまず何をさせるべき?
生活リズムの調整・安心できる対話・家での小さな成功体験の3つが土台になります。勉強より先に“回復”を優先することで行動意欲が戻りやすくなります。
昼夜逆転しているときはどう対応すればいい?
いきなり朝型に戻すのではなく、起床時間を10〜30分ずつ前倒しする段階調整が有効です。朝の光・軽い外出・就寝前の刺激を減らすと改善しやすくなります。
ゲームばかりしている場合はやめさせたほうがいい?
禁止や没収は逆効果です。ゲームは気持ちの安定装置になっている場合が多いため、“時間”より“区切り”で管理し、生活とのバランスを整える方が効果的です。
勉強はいつ再開させるべき?
気力が戻り、生活リズムが落ち着いてからで十分です。本人が「少しならやれそう」と感じたタイミングで、短時間から始めるのが最も長続きします。
外出リハビリは何から始める?
自宅周辺の散歩、コンビニ、図書館など“人が少なく短時間で済む場所”から始めると成功体験につながりやすく、次のステップに進みやすくなります。
親がやってはいけない対応は?
無理な登校の強要、勉強の圧、比較や説教、原因追及です。これらは自己肯定感を大きく傷つけ、回復を長引かせます。
専門機関はどのタイミングで利用すべき?
子どもが苦しそうに見える時、親が関わり方に迷う時、学校との調整がうまくいかない時が利用の目安です。親だけの相談でも問題ありません。
【まとめ】不登校の中学生に必要なのは「何をさせるか」より「どう見守るか」
中学生の不登校は、「やらせる」「立ち直らせる」と親が頑張りすぎるほど、子どもが追いつめられてしまうことがあります。大切なのは、「何をさせるか」ではなく、「どう支えるか」。
まずは生活の安定と心の回復を最優先し、「生活リズム」「安心の対話」「小さな成功体験」の3つを軸にした関わりが効果的です。
親自身が焦りや不安を抱えていると、それは無意識のうちに子どもにも伝わります。「一緒にゆっくり歩んでいく」気持ちで、押しつけではなく寄り添いながらサポートしましょう。必要に応じて学校や専門機関に助けを求めることも大切です。
未来は今の延長線上だけにあるわけではありません。不登校だった経験を乗り越えて、しなやかに成長する子どもはたくさんいます。「今は休むとき」と肯定しながら、復学や進路の選択を見据えて、今できることから始めていきましょう。




